工程改善のアドバイスをしている森下です。
以前は自動車部品メーカーの生産技術部で、ECUの封止や接着の塗布ラインを18年担当していました。
設備の相談を受けると、最初に「使う液は1液ですか、2液ですか」と聞きます。
ここが決まらないと、見積もりの桁すら読めないからです。
1液と2液は何が違うのか
1液は、そのまま使える液です。
単体で使う液のほか、硬化剤があらかじめ混ぜてある液もこちらに入ります。
2液は、主剤と硬化剤を混ぜて初めて固まる液です。
兵神装備の技術コラム「2液混合装置」によると、化学反応で短時間に硬化できるのが2液の利点で、1液の水分硬化型だと硬化までに1日程度かかる場合があるそうです。
ただ、1液なら手軽とも限りません。
スリーボンドのテクニカルニュース第95号「車載電装デバイス向けエポキシ樹脂」(2020年発行)に載っている一液性加熱硬化型エポキシは、硬化条件が120℃で60分です。
塗る設備は簡単でも、後ろに加熱炉が要るわけです。
設備はここが変わる
私の経験で、違いが出やすい部分を表にしました。
| 項目 | 1液型 | 2液型 |
|---|---|---|
| 液の容器 | シリンジやタンクが1つ | 主剤用と硬化剤用の2つ |
| 計量 | 吐出量だけを管理 | 2液の比率も管理 |
| 混合部 | なし | スタティックミキサーなどが必要 |
| 掃除 | ノズル周りが中心 | ミキサーの交換か洗浄が加わる |
| 硬化 | 加熱炉が要る液もある | 混ぜた時点で反応が始まる |
2液で一番手を焼くのは、混ざり具合が見えないことです。
前述の兵神装備のコラムでも、主剤と硬化剤の色が似ていて判断できない場合があり、高粘度の液は流量計で測るのも難しいと書かれています。
ミキサーの種類でも向き不向きがあります。
同じコラムでは、スタティックミキサーは連続で混ぜるので可使時間の短い液でも扱いやすく、混合室に液をためるダイナミックミキサーはその手の液が苦手と整理されていました。
設備を選ぶ前に確認したいこと
メーカーに相談する前に、次の項目を手元にそろえておくと話が早く進みます。
- 液剤の品番と、1液か2液か
- 2液なら混合比(重量比か容積比か)
- 粘度と可使時間
- 1回あたりの塗布量
- 硬化の条件(常温か加熱か)
ディスペンサーという装置そのものの基本や吐出方式は、ナカリキッドコントロールがディスペンサーの装置としての仕組みをまとめたページが読みやすいです。
同社は1液型と2液型の両方を扱っていて、2液型の機種には比率の適応範囲や洗浄タンクの仕様まで載っています。
まとめ
1液か2液かで、容器の数、計量の考え方、ミキサーの有無、掃除の手間、硬化の設備まで変わります。
2液は硬化が早いぶん、比率と混ざり具合の管理を設備に任せることになります。
まずは使う液のデータシートを開いて、混合比と硬化条件を確かめてください。
そこから先の設備選びは、液の性質を伝えたうえでメーカーと一緒に詰めていくのが近道です。
最終更新日 2026年11月6日 by teighj






